
離婚公正証書を自分で作成するメリットとデメリットを解説

【目次】
○ 離婚公正証書を自分で作成するメリットは2つ
○ 公正証書の原案に法的な問題がある場合
○ 離婚公正証書を自分で作成するデメリットは3つ
○ 離婚チェックシートの回答から始めませんか?
○ 無料相談から始めませんか?
初めまして、全国対応で離婚問題に力を入れている行政書士の辻 雅清と申します。
〈主要業務について〉
・離婚協議書の作成(全国対応)
・離婚公正証書の原案作成&代理作成(全国対応)
2010年に開業以来、様々なご相談とご依頼を受けてきた経験をこのページにてお伝えします。
ここでは離婚公正証書を自分で作成する2つのメリットと3つのデメリットをお伝えします。
離婚公正証書を自分で作成するメリットは2つ
先ず離婚公正証書を完成できる最終作成者は全国各地にある公証役場の公証人のみです。つまり自分で作成できるのは公正証書の原案(下書き)までとなります。行政書士を含む他士業者も原案までしか作成できません。
〈離婚公正証書を自分で作成するメリット〉
① 作成費用の節約ができる。
② タイミングが合えば2週間程度で完成できる。
離婚公正証書を行政書士などに依頼をして作成すると報酬支払が必要です。一方、自分で作成する場合、作成費用は公証役場に支払う手数料と実費だけで済みます。つまり①作成費用を節約できます。
ただし、公証役場は夫婦間で何も決まっていない状態(ゼロベース)では離婚公正証書を作成できず、事前に夫婦間で養育費などの条件合意をして公正証書の原案(下書き)を作成する必要があります。自分で作成する場合、原案の準備が必要となります。原案作成が難しいという方は行政書士などへの作成依頼が必要です。
なお、原案は離婚公正証書のひな形レベルではなく箇条書きでも構いません。
公証役場手数料の詳細は以下をご覧下さい。
・養育費、慰謝料、財産分与の公証役場手数料‐計算方法を解説
最近は作成費用の補助金(養育費のみ)を出す自治体が増えています。
お住まいの地域の自治体が実施していれば公証役場手数料の節約に繋がるのでご確認下さい。
そして公証役場は事前予約制となり、個人的には2020年頃から予約が取りにくいと感じています。最大で1か月待ちという経験が何度もあります。
ただし、日程調整に融通がきく(有給を取りやすいなど)ご夫婦の場合、公証役場の予約にキャンセル枠(月曜日の13時の枠など)があれば、原案提出から②2週間程度で完成できる可能性があります。
なお、祝日のある週や12月は予約が取りにくいのでご注意下さい。
余談ですが、当事務所の場合、通常予約だと1か月待ちでも別の予約方法で作成することが多いので原案提出から2週間~20日程度で完成できています。
公正証書の原案に法的な問題がある場合
公証役場に自分で作成した離婚公正証書の原案(下書き)を提出後、公証人が原案の法的チェックを行い、問題がなければ公正証書の原稿(案文)を作成します。
仮に原案の内容に問題があれば修正、削除を求められます。削除したくない場合、原案提出を取り止めて、夫婦間での再協議が必要となります。当事務所では原案チェックをする機会もありますが、問題のある条件合意をしているケースが非常に多いです。
再協議ということは完成期間が延びるので離婚までのスケジュールが狂います。
夫婦間で合意できればどんな条件でも離婚公正証書に反映できる。という勘違いをされている方が多いです。無効な条件は残せないのでご注意下さい。
なお、当事務所に代理作成のご依頼を頂いた場合、難易度が高い条件については公証人に事前確認を行うので、原案提出後に修正や削除を求められることはありません。
離婚公正証書を自分で作成するデメリットは3つ
離婚公正証書は夫婦間にとって大事な書類です。メリットだけではなくデメリットも知った上で進めるようにして下さい。
〈離婚公正証書を自分で作成するデメリット〉
① 間違った情報をもとに夫婦間協議を行っている。
② 大事な条件の書き漏れをしている可能性がある。
③ 無効な条件で合意をしていると離婚スケジュールが狂う。
離婚公正証書の原案を自分で作成する場合、自分で養育費などの離婚条件の情報を集めてから夫婦間協議を行います。
最近はインターネットで情報を集める方が多く、①間違った情報をもとに話し合いをして条件合意をしていることがあります。
インターネットから得られる情報は手軽で便利ですが、全てが正しいとは限らないので真偽の見極めが大事です。
また原案作成時にひな形をコピペする方が多いですが、意味を理解していなかったり不要な条件(年金分割で3号分割の該当者なのに合意分割の合意を記載など)を書いているケースがあります。
ひな形をコピペすることは悪くないですが、最低限、各条件の意味を理解してからコピペするようにして下さい。
間違った情報で作成した離婚公正証書の原案の効果は半減します。
離婚後、間違いに気付いても対策できないないことが多いのでご注意下さい。
〈②書き漏れをしている条件の例〉
・通知義務(電話番号を変更したら通知する。)
・清算条項(離婚後、追加請求しないという約束。)
当事務所では原案チェックをする機会もありますが、通知義務や清算条項といった離婚後のトラブル防止に役立つ条件の書き漏れが多いです。
離婚公正証書は大事な書類です。離婚条件の書き漏れがあると時間をかけて作成した離婚公正証書の効果が半減します。
補足ですが離婚後に離婚公正証書の作り直しは可能です。
ただし、元配偶者の同意が必要なので現実的には最初の1回がラストチャンスです。
そして事前に公証人から自分で作成した原案の法的チェックを受けるため、③離婚公正証書には無効な条件を記載できません。
仮に公証人の事前チェックで無効という判断をうけた場合、夫婦間で離婚条件の再協議を行う必要があり離婚までのスケジュールが狂います。
上述の通り、夫婦間で合意した条件なら全て離婚公正証書に反映できる。という勘違いしている方がいるのでご注意下さい。
なお、夫婦間で再協議をする時間がなければ削除することもできます。優先度の低い離婚条件の場合、削除を選択するご夫婦もいらっしゃいます。
仮に離婚後の手続き(保育園の入園など)との兼ね合いで離婚を急いでいる場合、優先度の高い養育費などの条件も削除しないといけない。という状況になりかねないのでご注意下さい。
今回お伝えしたデメリットを知らずに離婚公正証書の原案を自分で作成した場合、後々、後悔する可能性があるので依頼の有無は別として1度は専門家への相談をお勧めします。現在、無料相談を実施している行政書士は多いです。
【関連ブログ】
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